失敗しないぬか漬けのコツ

 ぬか漬けは、ビタミンB1が豊富で乳酸菌がとれる健康食品です。たくさん採れた夏野菜を保存することもできます。うまく作れば、ジューシーで旨味のある美味しい食べ物です。
 ですが、ぬか漬けに挑戦したけど、シンナー臭くなって諦めたことのある方も多いのではないでしょうか。私も色々失敗しました。これら経験から、失敗しないで美味しいぬか漬けをコツがわかってきましたので、ご紹介したいと思います。

冷蔵庫でも元気な乳酸菌を買ってくる

 ぬか漬けを作るために一番大切なのは、やはり主役の乳酸菌でしょう。ここで注意しなければいけないのは、乳酸菌には色々な種類があることです。失敗しないための一つ目のコツは、冷蔵庫でも元気な乳酸菌を買ってくることです。
 こう書くと特殊なもののように思われるかもしれませんが、なんと、スーパーで普通に売っていますし、もちろん通販にもあります。これを使えば、冷蔵庫で管理できますので、特に暑い夏でも毎日かき回す必要がなくなり、失敗しにくくなります。
 ちなみに寒くても元気な乳酸菌は、例えば東北地方の白神山地で発見されたものなどがあるそうです。スーパーで売っているものに乳酸菌の産地まで書いてあるものを見たことはありませんが、ネット通販では血統書付きの乳酸菌が売られているようです。

背の高い容器を準備する

 昔はぬか漬けはカメに入れていたので、容器の背の高さのことなど気にしなかったでしょう。ですが、最近はプラスチックの容器が色々あるし、スーパーで売ってるぬか漬けなどは、ビニール袋のままで良いなどと書いてありますが、これでは長持ちしません。要注意です。
 ぬか漬けの中には乳酸菌だけでなく、産膜酵母や酪酸菌も住んでいます。空気に接触している部分に産膜酵母が住んでいて、乳酸菌はその下の酸素の少ないところに住んでいます。しばらくかき混ぜなかったりすると、産膜酵母が下のほうに進出していきます。背の低い容器だと、乳酸菌より産膜酵母が多くなってしまい、かき混ぜても産膜酵母の方が優勢で、味が変わってしまうのです。これが背の高い容器だと、まだ下に乳酸菌が残っているので、かき混ぜることで産膜酵母の色を薄めることができ、元に戻すことができるのです。これをまとめると、下の図のようになります。


 私も最初はこのようなことを知らなかったので、スーパーで買ってきたぬか漬けをその袋のままで使ってダメにし、100均で買ってきたプラスチック容器(写真右)でダメにしました。原因を色々調べているうちに、背の高い容器が良いことがわかり、冷蔵庫にも入れやす容器として野田琺瑯の深型の容器(写真左)をつかうようになってからは、ダメにすることなく、ずっと育てられています。

水気が出てゆるくなったらぬかをたす

 水気が出てゆるくなったら、ちょうどよい硬さになるまでぬかを足せばいいだけじゃないかと思われるかもしれませんが、ここにもコツがあります。

 ①煎ったぬかも入れる
 ②塩はぬかの重さの約13 %

 煎ったぬかを入れることで、ぬか漬けの臭みが少なくなり、芳ばしくなります。ぬか漬けに慣れていない方は、まずは全量煎ったものを使うことをお勧めします。
 煎ることで芳ばしくなるのですが、一方で、ぬかに含まれる酵素が壊れてしまうという話があります。ぬか漬けに慣れている方、健康を重視される方は、半分は生のぬかを使うといいでしょう。昔はぬかに虫がついていることがある点から煎って使うことが勧められたりしたようですが、きちんと密封されて売られているぬかを使う場合は大丈夫でしょう。
 私は無農薬栽培の玄米を精米して食べていますので、精米する時に出てくるぬかを使っています。この玄米の精米については「ゆる生活ならではのお米の精米」をご覧ください。

 ぬかを煎るのには、フライパンや中華鍋を使います。ぬかを入れ、弱火~中火にしてスプーン等でかき混ぜながら煎ります(私は鉄製のフライパンや中華鍋を使っていますので金属製のスプーンを使いますが、テフロンコーティングのあるものを使われている方は、それに合わせた道具にしてください)。
 強火だと直ぐに黒こげになってしまいますので、弱火〜中火で常時かき回すのがコツです。白っぽかったぬかが、少しずつ色が濃くなってきます。それと同時に芳ばしい匂いがしてきますので、焦げる前に火を止めます。そして容器に移します。この時に容器はハカリの上に載せておき、重さを計ります。
 そして2つ目のコツ、ぬかの重さの13%の塩を加えます。測った結果を1.13倍し、その重さになるまで塩を加えればOKです。例えばぬかが100gなら計算は簡単ですね。100×1.13=113gになるまで塩を入れます。
 ぬか漬けの塩分濃度は、薄いと雑菌が繁殖しやすいですが、濃過ぎると雑菌しょっぱくなります。最初にきちんと計って入れておくのが間違いないです。ですが、少しずつ塩気は減っていきますので、新しい野菜を入れるときに少しぬかを手に取ってなめてみて、塩気が足らないと感じたら少し塩をまぶして入れます。

旨味の素を加える

 私は旨味の素として一番効くのは、かつお節と思います。小分けにした袋に入っているものが売られていますが、その一袋を入れるといいです。この他にも、しいたけ、昆布、煮干し、梅干し、生きているみそ(麹菌)などを入れてやります。要は日本の旨味の素ですね。自分好みの塩梅をみつけましょう。

 しいたけや煮干しは、手でできるだけ細かくくだいて入れてやります。昆布は出汁を取ったあとのものを細かく切って入れてやります。もしかしたら、出汁を取る前のものを入れてやると、昆布と同じくらいガツンと効くかもれません。梅干しは実のところを小さくちぎっていれてやります。

日々の管理

 できるだけ毎日かき回した方がいいですが、冷蔵庫で管理している場合には、そこまでこだわる必要はありません。食べたいと思った時が吉日、気楽に楽しみましょう。とは言っても、1周間に1回は漬けてあるものを食べて、新しい野菜をいれてやるようにしてやりましょう。

 きゅうりなどの水を多く含む野菜を漬けていると、ぬかが水っぽくなることがあります。そんな時には四隅(ゆるくなり具合によって数は調整してください)に穴を掘ってやります。一晩もすれば、そこに水がたまります。この水をティッシュなどで吸い込んで取り除くことで、元に戻すことができます。

 この他にも、乾燥大豆を一握り入れてやる方法もあります。乾燥大豆が水分を吸って、膨らんでくれます。この水分を吸った大豆も、きゅうりのぬか漬けなどとはちょっと違った食感ですが、美味しくいただくことができます。

まとめ

 重要なところをまとめると、①冷蔵庫で管理できる乳酸菌を買ってくる、②背の高い容器に入れる、③即効性のある旨味の素はかつお節、といったところでしょうか。ぜひ自分好みの旨味の素の調合割合などみつけ、美味しいぬか漬けを味わっていただきたいと思います。