先週末はジャガイモの芽かきをしました。種イモからどんどん芽が出てくるのですが、大きく育てるためには元気なものを2〜3本残し、残りは引き抜く必要があります。この作業を芽かきと呼ぶそうです。
ジャガイモは失敗することが少ない家庭菜園にはオススメの野菜です。失敗しにくいだけでなく、2〜3月頃に種イモを植え付けて、収穫できるのが5〜6月と、約3ヶ月で成果が出るところや、水やりや追肥をあまり気にしなくてよいこところもオススメポイントです。ただし、ちょっとしたコツがあります。今日はそれをお話したいと思います。
種イモはそのまま植え付ける(芽かきは必須になります)
ガイドブックには、よく種イモを半分に切って植え付けると書いてあります。確かに半分に切って植え付けても芽は十分出てきますし、その方が同じ種イモからたくさんのジャガイモが収穫できます。ですが失敗するリスクが高まるので、それを防ぐ作業が増えるのです。
半分に切った場合、腐るのを防ぐために切り口に灰をまぶし、日に干したりする必要があります。それでもたまに腐ってしまい、芽が出て来なくなることがあります。種イモをそのまま植え付ける場合、そのような心配や手間はありません。
種から育てる野菜に比べ、種イモからの発芽は何せ種イモが水分や養分を持っているので確実です。これはジャガイモを保存していて芽が出てきた経験をお持ちの方には、納得いただけることかと思います。
このように種イモをそのまま植え付ける場合、できるだけ小さい種イモがたくさん入っているものを購入するのがオススメです。種イモは例えば500gのような単位で売っていますので、小さなものの方がたくさん入っています。大きなものが入っている袋もありますが、大きな種イモをそのまま植え付けると、ちょっともったいないと感じてしまいます。ですが500gでも結構は入っているので、家庭菜園では余るぐらいです。注意するほどのことでもないかもしれません。それから丸ごとそのまま植え付ける場合、半分に切って植え付けるよりたくさんの芽が出てきます。そのままにしておくと、小さなジャガイモしか収穫できなくなりますので、芽かきの作業は必須です。
植える品種は男爵かメークインにする
家庭菜園の楽しみは、スーパーであまり見かけないような品種を育てて味わえることにもありますが、失敗を避けることを優先するなら、品種は男爵かメークインがオススメです。この2品種はたくさん出回っているだけあって、安定感抜群です。
この2品種でジャガイモ作りの勘所が掴めたら、男爵に近いキタアカリや、メークインに近いシンシアのような品種からレパートリーを広げていき、インカの目覚めやアンデスレッドのような品種に挑戦していくのが良いと思います。
ジャガイモが地面に出てきたら土をかぶせる
ジャガイモは日光に当たるとソラニンという毒素ができて緑色に変色し、食べられなくなります。せっかく育てたものが食べられなくなるのは悲しいです。あまり手がかからず失敗の少ないジャガイモ作りですが、ここだけは注意して観察し、地表に出てきていたら、土をかぶせてやる必要があります。
おまけ
ジャガイモは痩せた土地でも短期間で育てることができる優秀な野菜で、大航海時代にアンデスからヨーロッパに持ち込まれ、瞬く間にヨーロッパに広まって、劇的に食糧事情を改善したそうです。
一方で、単一品種のジャガイモが広まって、それに依存するようになったため、ジャガイモの病気が発生した時に、その病気でヨーロパ中のジャガイモが病気になることが、1840年代の大飢饉の原因となったそうです。
ジャガイモの原産地のアンデスでは色々な種類のジャガイモが育っているため、ジャガイモの病気が発生しても、その病気にかからない品種もあって、ヨーロッパのような飢饉になることはないのだそうです。
このあたりのジャガイモの歴史は、岩波新書の「ジャガイモのきた道ー文明・飢饉・戦争」で読んだ情報です。あまり話すとネタバレになりますね。この本にはアンデス地方のジャガイモ料理の紹介もあったりします。文化人類学の大好きな私には面白くてたまらない本でした。興味のある方は、ぜひご一読ください。
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